『ビジョンへの共感でした。』100年企業のマルトクが日創グループに参画した理由

株式会社マルトクのロゴ
株式会社マルトク (https://www.woodworks-marutoku.co.jp/)
製造業 木材加工 ネット販売 10~30名

プロフィール
株式会社マルトク 社長 中島 弘樹氏

1970年生まれ。ハウスメーカー勤務を経て、1996年に家業であるマルトクへ入社。
2004年四代目として代表取締役に就任。2007年頃より、木材のある暮らしをより多くの人に提供したいとの想いから、インターネットで気軽にカットした木材がオーダーできるネット通販サイト「マルトクショップ」をスタートさせ、事業を拡大。2024年1月より日創グループに参画。オーナーを退いた後も、日創グループ初の木材を扱う企業の社長として、マルトクを率いながら、木のプロフェッショナルとして活躍中。

株式会社マルトクについて

—— まずはマルトクについて教えてください。

マルトクは香川県高松市に本社を置く木材の製造・販売会社です。
高松市にはもともと木材団地がありまして、その名の通り主に木材を扱っているのですが、弊社はその中でも住宅の内装用木材を扱っている会社になります。
それとは別に、個人やDIYユーザー向けにネット通販事業も行っていまして、オーダー家具や木材などの製造・販売もしているのが特徴です。

社員は30名ほどで、20代〜30代が割合としては多く、地元高松市を中心にものづくりや木材が好きなメンバーが集まっています。

創業は今から約100年前の1920年で、私の祖父が大阪で始めた会社になります。私は2008年、36歳の時に社長になりまして、4代目になりました。

M&Aを考え始めたきっかけ

後継者と人材育成の難しさ

—— M&Aを考え始めたきっかけを教えてください。

一番最初にM&Aを知ったのは10年ほど前で、経済情報番組でM&Aの事例を目にしたのをきっかけに、「一つの選択肢として持つのも良いんじゃないか」とざっくりと考えていました。

そこから5年ほど前に、私の友人が実際にM&A(譲渡側)をしまして『非常に良かった』というリアルな声も聞いていたので、現実的に考え始めたという経緯があります。
というのも、当時はやはり後継者と人材育成に大きな課題を感じていました。

後継者に関しては、私が50歳になったタイミングで、60歳では一線を退こうというのを決断したので、そこから人を育てたいなということでそれなりに時間とお金をかけてはきました。
できれば社内から育てたいと思っていた部分もありますし、また息子もいるのですが、息子からは『継がない』という話をもらっていたので、なかなか適任を見つける・育てるのが難しい部分がありました。

そんな状況から5〜6年経ちまして、進捗状況から考えると60歳では引けないなとなり、具体的にM&Aという選択肢も含めて動き出した背景があります。2023年の春頃だったと思います。

決め手となった「ビジョン」への共感

—— M&Aをするにあたって、どのように動き始められたのですか。

幸運にも、先に話したM&A経験者の友人がいたので、仲介業者を紹介してもらい、そこから何社か候補をいただいて具体的に検討するフェーズに入っていきました。

日創さんはその候補の中の一企業という形で、そこで初めて知ったという感じです。

印象として、当時「加工の総合企業を目指す」というビジョンを掲げられていて、そこにとても共感したのを覚えています。僕の勝手な解釈かもしれませんが、日本のものづくりを元気にしたい、という意気を感じられました。

またちょうどそのタイミングで、ものづくりECサイトの「カナエテ」という新規事業をリリースされていたのも大きかったです。
弊社でやっているものづくり&ネット通販とのシナジーも感じましたし、相乗効果だったり、製造と販売の両方の経験を用いてお役に立てることがあるんじゃないかと考えていました。

—— 最終的に日創を選んだ決め手はどのような点だったのでしょうか。

もちろん複数社からお声がけいただいてはいたのですが、「加工の総合企業」というビジョンへの共感と事業的なシナジーが見込めそう、という点がやはり大きく、代表の石田社長とも面談をさせていただいてお話したうえで日創さんに決めました。

—— マルトクは100年以上の歴史のある企業ですが、M&Aに対する葛藤などはありませんでしたか。

私自身はありませんでしたが、先代とは色々と議論をしました。
最終的には、今までと違う形であっても、事業そしてマルトクが存続していくための最善策として間違ってはいなかったんじゃないかと思っています。

実施後の動き、シナジーの創出

社内体制の変化

—— M&A実施後の変化についても教えてください。

今は、本社から一名常駐でサポートいただいており、主に生産ラインを見ていただいています。
社内的には、トップダウンで指示が降ってくるとか、これまでの社風や文化が変わってしまうのでは、といった多少の不安もあったかもしれませんが、全くそんなことはなく、これまでと変わらずに働くことができています。

また、もともと弊社の人員構成として、20代と50代が中心で間の世代がいないという課題もあったのですが、上手く間を繋ぐ役割を担っていただいていることもあり、育成という面でも良い効果が出ているのではと感じています。
なにしろ工場が綺麗になりましたね。(笑)

—— 日創のスタンスとして、上下関係を設けずに各社で自走することをM&Aの前提としていますが、そのあたりはいかがでしたか。

それはまさしく感じています。
「これをやってくれ」というものもないですし、マルトクならマルトクの企業文化を生かしていってほしいという話もよくいただいています。

私としては、自走するためには人材育成、とくに若い世代をどう育成するのかが非常に大事だと感じています。
元は生産部署も営業部署も私が見ていたのですが、常駐でサポートいただいているおかげで最近は生産側はあまり見なくなりましたし、その分教育に力を入れられている面もあります。
その辺りも含めて自走に向けた支援をいただけているのはとてもありがたいですね。

シナジーから生まれる事例

—— 決め手の一つにシナジーというお話もありましたが、進んでいる企画などはありますか。

日創さん含めた他のグループ会社さんとも協働して新製品や新ブランドの企画・開発をしていこう、という動きは進んでいます。
来月(2024年11月)には展示会に新製品を出展するという話もあり、具体的に動いているところですね。



グループインしてまだ1年弱なので、これからな部分はありますが、個人的には鉄と木材は相性が良いのではないかと思っていますし、その他の金属やゴム、タイルといった違う素材との組み合わせで何か生み出せないか、という点は各社さんと協力しながら開発を進められればなと思っています。

今後のM&Aにむけたメッセージ

M&Aを決断するまでは非常に悩みましたが、振り返ってみると、間違いではなかったと感じています。グループ入り後も、良い意味で大きな変化はあまりなく、以前とほぼ同じ流れで仕事が進んでいます。よく聞く“経営のプロが来て、急激に変化し、社員が辞めてしまう”という話も私たちのケースでは全くなく、ネガティブな変化はありませんでした。

そして、私たちの企業文化をできる限り尊重しサポートしてくれるので安心していますし、なにより『後継者がいない』という不安も解消されました。
若手の成長をサポートしてもらえるという点でも非常に心強く、後継者問題に悩んでいた時とは、気持ちがまったく違います。

マルトクは100年以上続くオーナー企業でしたが、これからは新しい形で存続していくことを目指しています。四代目としてどう事業・会社を次に繋ぐかを考えてきましたが、M&Aを通じて、自分なりに責任を果たせたのではと感じています。

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